第8回:差止請求レベル6 医業類似行為の定義の拡張

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第1回:不正競争防止法の概要
第2回:品質誤認惹起表示(優良誤認表示)
第3回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその1(レベル5)
第4回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその2(レベル4)
第5回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその3(レベル1〜3)
第6回:差止請求

第7回:損害賠償請求

 

 

世の中、計画通りにはいきません。
今回の内容、本来なら第7回で書くべきなんでしょうけど、思いついたのが第7回を書いた後でしたので。

 

あはき法第12条で禁止処罰される医業類似行為の定義は

 

疾病の治療又は保健の目的でする行為であって医師・歯科医師・あん摩師・はり師・きゅう師又は柔道整復師等の法令で正式にその資格を認められた者がその業務としてする行為でないものをいう

 

とHS式無熱高周波療法の第1次控訴審(仙台高裁昭和28年(う)375)にて判示されております。

 

「疾病の治療又は保健」と目的が限定されているわけです。

 

法律本来の運用、すなわち医業類似行為を行っただけで禁止処罰の対象とする場合、どのような目的をもった行為かが不明確では罪刑法定主義に反するでしょう。

 

さて、現在、医行為の定義
「医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為」
となっております。

 

しかし以前、例えば昭和28年05月21日大阪高裁判決では

 

医行為とは人の疾病の治療を目的とし医学の専門知識を基礎とする経験と技能とを用いて、診断、薬剤の処方又は外科的手術を行うことを内容とするものを指称し、等しく人の疾病の治療を目的とするもの

 

と判示され、以前は医行為も疾病の治療を目的とする、とされていたのでした。

 

ただ疾病の治療目的を必要条件にした場合、病気の治療を目的としない、美容外科は医行為じゃない、という話になってしまいます。

そのため現在の医行為は目的を限定せず、危険性のみに着目して、

 

「医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為」

 

となっております。

 

さて、消費者庁が措置命令を出したニュースが記憶に新しい小顔矯正の整体ですが、美容目的となり、仮に判例が変更されても「疾病の治療や保険の目的ではない」と言い張って業務を継続することが考えられます。

 

そういう言い訳を許す場合、判例変更を行っても無駄になってしまいます。

 

そこで美容などの目的も医業類似行為の定義に加えるべきです。
医行為も定義が拡張されたのですから。

 

ちなみにHS式無熱高周波療法の第二次最高裁判決では

 

前記法律一二条は「何人も、第一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない」と規定し、同法一条に掲げるものとは、あん摩(マツサージおよび指圧を含む)、はり、きゆうおよび柔道整復の四種の行為であるから、これらの行為は、何が同法一二条の医業類似行為であるかを定める場合の基準となるものというべく、結局医業類似行為の例示と見ることができないわけではない。

 

と判示しており、あはき柔の施術目的として美容などがあれば医業類似行為の目的にもなるわけです。

そして美容を目的として施術している鍼灸マッサージ師もおります。


また薬機法(旧薬事法)は医薬品や医療機器の定義として下記の目的が書かれています。

 

  • 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されること
  • 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすこと

 

従来の医業類似行為の定義の場合、前者は含まれますが、後者が含まれるかは微妙なところです。
小顔矯正であれば後者の定義に当てはまるでしょう。

 

なので医業類似行為の定義を

 

「人の疾病の治療若しくは予防(保健)又は人の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことを目的とする行為であって、医師・歯科医師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師又は柔道整復師等の法令で正式にその資格を認められた者がその業務としてする行為でないもの」

 

と拡張すべきと考えます。

 

これなら美容目的だから、という言い訳で無免許施術を許さずに済みます。

 

目的の変遷

 

 

 

なお、美容目的、というかエステティックサービスによる危害報告ですが、消費生活センター等に報告される危害情報の上位5位以内には毎年入っています。

 

2015年度のPIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)にみる危害・危険情報の概要

 

 

2ページめを見ると「危害情報」の概要として

商品等分類別にみると、1位は「保健・福祉サービス」(「医療サービス」、「エステティックサ ービス」、「美容院」、「歯科治療」など) 2,804 件(26.4%)、2 位は「食料品」(「健康食品」、「調理食品」、「飲料」、「菓子類」など) 2,259 件(21.2%)、3 位は「保健衛生品」(「化粧品」、「医薬 品類」、「家庭用電気治療器具」など) 1,791 件(16.8%)、4 位は「住居品」(「家具類」、「洗濯用 洗浄剤」、「ふとん類」など) 932 件(8.8%)、5 位は「他のサービス」(「外食」など) 602 件(5.7%) でした。(表 1)

 具体的に商品・役務別にみると、1 位は「化粧品」1,036 件(9.7%)で、前年度(1 位、1,227 件)と同じ順位でしたが、自主回収している薬用化粧品の白斑トラブルに関するものが減少したことなどにより、191 件減少しました。2 位は「医療サービス」904 件(8.5%)で、顔のリフトア ップなどの「美容医療」に関するものが 214 件減少したことなどにより 301 件減少しました。 3 位は、「健康食品」898 件(8.4%)で、前年度(4 位、583 件)から 315 件増加し、順位も上がりました。4位は「エステティックサービス」521 件(4.9%)、5 位は「外食」501 件(4.7%) でした。(表 2)

とあり、表2がこのようになっています。

エステの危害情報

 

エステティックサービスが保健・福祉サービスの中に入っているのも意外ですが、人体に関する知識を要求される点では当然かもしれません。

だから無免許のものが行うのを禁止すべきとも言えます。

 

事故情報データバンクで保健・福祉サービスに限定してエステの事故情報を調べたのですが、多すぎです。

そのうち、神経・脊髄の損傷を検索して出てきた事故情報の一部にリンクを貼り付けます。

 

小顔矯正

痩身エステ, 理美容用具その他

タイ式マッサージ, マッサージ・指圧(エステサロンで受けたタイ式マッサージだそうです。)

ネックマッサージ(これもエステサロンでの施術)

痩身エステ, 理美容用具その他, マッサージ・指圧

エステサービス

痩身エステ, 保健衛生品その他

小顔矯正, 美顔エステ(接骨院での無資格者による施術)

痩身エステ, 低周波治療器

エステでぎっくり腰, マッサージ・指圧

痩身エステ, 理美容用具その他

保健・福祉サービス - 理美容

マッサージ(エステ店)

 

これだけ危害情報があるなら明らかに「人の健康に害を及ぼすおそれのある行為」でしょ。


第7回:損害賠償請求

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過去記事をご覧いただいてない方は過去記事からどうぞ。

 

第1回:不正競争防止法の概要
第2回:品質誤認惹起表示(優良誤認表示)
第3回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその1(レベル5)
第4回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその2(レベル4)
第5回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその3(レベル1〜3)
第6回:差止請求

 

今回は損害賠償請求です。


品質誤認表示(優良誤認表示)の場合、損害賠償が難しいため、事業者はこれで訴えにくかったりします。

品質誤認表示を行った業者が得た利益のうち、訴えた業者のシェア分しか損害賠償は取れません。

 

一社だけで訴える場合、「訴訟費用>損害賠償」ということもあり、費用倒れの可能性もあります。
なので消費者庁などが優良誤認表示で措置命令を出すまで競合業者が放置する、というわけです。

 

そのため、正当に施術を行える国家資格者がまとまって訴訟を起こす必要があります。
地域の国家資格者全員が訴えれば、無免許業者の利益を全て損害賠償として請求可能になります。

 

損害賠償額=無免許業者の利益額✕原告(国家資格者)÷競合地域の現役国家資格者数

 

というわけです。

 

どうやって無免許業者の利益額を知るのか、ということですが不正競争防止法第7条はその推定根拠となる会計書類の提出を裁判所が命じることができます。

 

第七条  裁判所は、不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟においては、当事者の申立てにより、当事者に対し、当該侵害行為について立証するため、又は当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な書類の提出を命ずることができる。ただし、その書類の所持者においてその提出を拒むことについて正当な理由があるときは、この限りでない。

 

 

というわけで、訴えて、会計書類を出してもらってから請求額を確定すれば良いわけです。
逆に裁判を起こさなければこのような書類の提出を求めることができません。

 

またこの不正競争で得た利益は売上から変動経費を差し引いた額(限界利益)が認められるのが原則です。
家賃などの固定出費は控除されません。

 

そのため無免許の方が品質誤認惹起表示で利益を上げていた場合、手元に残った額よりも多くの賠償金の支払いを命じられる可能性もあります。

 

そのような支払いをする覚悟が無ければ無免許でこの業界に入ろうとは思わないことです。


第6回:差止請求

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今回は差止請求の解説です。

過去の記事は以下になります。

 

第1回:不正競争防止法
第2回:品質誤認惹起表示(優良誤認表示)
第3回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその1(レベル5)
第4回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその2(レベル4)
第5回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその3(レベル1〜3)

 

 

差止請求は不正競争防止法第3条が根拠となります。

 

第三条  不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

 

2  不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む。第五条第一項において同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。

 

 

「その侵害の停止又は予防」ということで、品質誤認惹起表示となる広告の文言の削除、および将来にわたってそのような表示をしないことを求めることができます。

 

差止請求レベル

 

レベル4,5で認められるなら「病気、症状の改善、緩和、治療を行う、又は行える」旨の表示と、施術を行う旨の表示を禁止することができます。

これは利用者の声も含まれます(クロレラ裁判参照)。

 

研究会チラシのうち,細胞壁破砕クロレラ粒等を服用したことにより,「腰部脊柱管狭窄症(お尻からつま先までの痛み,痺れ)」「肺気腫」「自律神経失調症・高血圧」「腰痛・坐骨神経痛」「糖尿病」「パーキンソン病・便秘」「間質性肺炎」「関節リウマチ・貧血」「前立腺がん」等の症状が改善したとの体験談を記載した部分については,人の疾病を治療又は予防する効能効果があることを暗示するものであり,一般の消費者に対し,細胞壁破砕クロレラ粒等が医薬品であるとの誤認を引き起こすおそれがあるから,医薬品的な効能効果があると表示するものである。


レベル3なら種類を問わず、手技療法を行うことの表示を禁止できます。

 

レベル2なら整体やカイロプラクティックなど、具体的な療法を行うこと(事故情報が報告されているものに限る)の表示を禁止できます。

 

レベル1なら問診や検査法を行う旨の表示を禁止できる程度にとどまります。

 

なおクロレラ裁判では

景表法10条 1 号に基づき,当該表示の「停止若しくは予防に必要な措置」として別紙2に記載の広告を別紙3に記載の条件で1回配布することを求める。

 

と適格消費者団体が主張し、一審では認められています(一審判決後、問題とされた表現をした広告を被告が配布しなかったことから、二審以降は差止の必要を認めず)。

 

別紙2はこちら[PDF]

 

当社が「日本クロレラ療法研究会 解説特報」の表題で日刊新聞紙に折り込んだチラシには,下記の内容の不当景品類及び不当表示防止法10条1号の優良誤認表示がありました。今後は,優良誤認表示を行わないようにいたします。

 

 

不正競争防止法第3条第2項でも


"侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。

 

とあります。

 

というわけで、品質誤認惹起表示を行った旨の周知措置も求めたいと思います。

 

ホームページ上で品質誤認惹起表示をしていたのであれば、トップページに掲載していただきます。

JR北海道の安全に関する記載のように(JR北海道のは不正競争防止法や景品表示法に関する記述ではありませんが)。

 

タウン誌などの広告でも品質誤認惹起表示をしていたなら、タウン誌でも一回、周知広告を出していただきましょう。
 


第5回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその3(レベル1〜3)

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昭和35年の判例変更を求める訴訟案解説、第5回目となります。

 

第1回:不正競争防止法

第2回:品質誤認惹起表示(優良誤認表示)

第3回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその1(レベル5)

第4回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその2(レベル4)

 

差止請求内容別の難易度(レベル)の図になります。

差止請求レベル

 

 

レベル1〜3は現行の判例、すなわち「人の健康に害を及ぼすおそれのある行為」のみ禁止処罰する、という考えのもと、

何が「人の健康に害を及ぼすおそれのある行為」かを明確にする差止請求内容となります。

 

レベル1は問診や検査法といった細かい行為の表示の禁止となります。


これは問診や検査法を医行為とする判例があるので問題なく禁止できると思います。
行為や判例に関しては下記の記事でまとめて取り上げてます。

 

無免許業者が取り締まりを受けずに済む行為


レベル2は整体やカイロプラクティックなど、個々の療法を行うことの表示を禁止する内容となります。

 

根拠は消費者庁の事故情報データバンクのデータによります。

 

「整体」「カイロプラクティック」のor検索で、類義語を含み、負傷程度でまとめますと下図(2017年1月現在)のようになります。

 

事故情報

 


事故情報データバンクに健康被害が登録された療法は「人の健康に害を及ぼすおそれのある行為」である、という考えです。

しかし名前を○○セラピーとか○○トリートメントなどに変えられると禁止処罰を逃れられる可能性もあります。


レベル3は国民生活センターが手技療法に関しての健康被害の報告書を出していることを根拠とし、整体やカイロプラクティックなどに限らず、手技療法は「人の健康に害を及ぼすおそれのある行為」である、とする考え方です。

 

ただレベル3でも光線などを使う療法までは禁止処罰対象にできません。
事故情報があればレベル2で対応可能ですが。

 

昭和35年の判例変更が無理なら最低限、レベル2の判例は確保したいところです。

第6回:差止請求


第4回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその2(レベル4)

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第1回:不正競争防止法の概要
第2回:品質誤認惹起表示(優良誤認表示)
第3回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその1(レベル5)

 

 

前回は図のレベル5の差止請求について解説しました。

 

差止請求レベル

 

つまり医業類似行為の禁止処罰を人の健康に害を及ぼす虞の有無に関係なくするように判例変更を求めるわけです。

 

レベル4は差止請求内容はレベル5と同様になりますが、理由が異なります。

 

レベル5では判例変更が必要となりますが、裁判官というのはあまり違憲判断や判例変更をしたくないそうです。

 

というわけでレベル4は法改正によりあはき法の規制目的が変化したので判例変更では無く、新しい法律に対応した判例を求める、という形になります。

 

根拠とする法改正は昭和39年の改正であり、あはき法第19条、つまり視覚障害者に対する職域の保護規定になります。

あはき法19条の内容としては

当分の間、文部科学大臣又は厚生労働大臣は、あん摩マツサージ指圧師の総数のうちに視覚障害者以外の者が占める割合、あん摩マツサージ指圧師に係る学校又は養成施設において教育し、又は養成している生徒の総数のうちに視覚障害者以外の者が占める割合その他の事情を勘案して、視覚障害者であるあん摩マツサージ指圧師の生計の維持が著しく困難とならないようにするため必要があると認めるときは、あん摩マツサージ指圧師に係る学校又は養成施設で視覚障害者以外の者を教育し、又は養成するものについての第二条第一項の認定又はその生徒の定員の増加についての同条第三項の承認をしないことができる。

 

とあり、視覚障害者であるマッサージ師の生活が困窮しないように、晴眼者向けのマッサージ師養成校の設立の認可を拒否できる、としているわけです。

 

で、現在、養成校の認可を認められなかった学校が国を相手取り、19条は違憲である、として仙台、東京、大阪の各地裁で裁判を行っています。
http://mainichi.jp/articles/20160909/k00/00e/040/214000c

 

こういう経済的弱者の保護のために規制(積極目的規制)するのは合憲とする、小売市場の距離制限に関する判例があります。

 

養成校の裁判でも国は19条の合憲性の根拠としてこの最高裁判例を引用しております

 

というわけで、視覚障害者であるマッサージ師の生計維持のために、無免許業者による施術行為は禁止、とするのも積極目的規制論から許されるかと思います。

 

現行の19条の追加は昭和39年の法改正によってですから、昭和35年判決の後です。
つまり新しい法律に対する判例、という考えもあります。

 

判例変更を避けたがる裁判官に対して有効な考えかと思います。

 

しかしこのレベルでの判決は19条の合憲性に依存する判例です。

 

今の段階では19条は合憲であると言えますが、50年後はわかりません。
実際、視覚障害者のプログラマーなどもおられますし。

 

昭和35年判決からは50年以上経っていますが、その判例に縛られ、国民の安全は蔑ろにされているわけです。

このレベルでの判決はできれば避けたいところです。

第5回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその3(レベル1〜3)
第6回:差止請求


第3回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその1(レベル5)

 

このブログを初めてご覧になられる一般の皆様へ。

皆様にご理解いただきたいのは、このブログで提案してる訴訟を行う目的は、我々鍼灸マッサージ師などの権益確保のためではなく、患者さん、消費者などの国民を守るための訴訟である、ということです。


乳幼児に対する無免許マッサージで死亡事故が起きております(ずんずん運動事件)。
http://www.j-cast.com/tv/2015/10/27248975.html?p=all

 

死亡に至らなくても、整体やカイロなどの無免許施術で健康被害が生じていることが国民生活センターから報告されています。
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20120802_1.html

 

本来、無免許での施術行為は禁止されているのですが、最高裁が昭和35年に、それらの禁止処罰を「人の健康に害を及ぼすおそれのある行為」のみに限定してしまったため、無免許施術が放置される状況を招いています。

 

なので昭和35年の最高裁判例を変えない限り、第2,第3のずんずん運動事件を防げませんし、無免許施術による健康被害も防げません。

 

国民を守るための訴訟であることをご理解いただければと思います。



前回まで

 

1回目:不正競争防止法の概略
2回目:品質誤認惹起表示(優良誤認表示)

 

と解説してきました。

 

2回めの記事で書いたように、この訴訟案は医療免許が必要な行為(要免許行為)の表示をもって、品質誤認惹起表示として広告などの差し止めや賠償請求を行う、というものです。

 

そして要免許行為をどこまで裁判所に認めさせることができるかが一番重要なポイントです。

 

で、レベル別に分け、要免許行為と根拠を示したのが下図になります。

差止請求レベル

 


目指すのはレベル5,つまり腰痛などの傷病の治療や予防を目的にした施術を行うことを、人の健康に害を及ぼす虞の有無に関わらず、要免許行為とすることです。

 

正確に言えば仙台高裁昭和28年(う)375で示された医業類似行為の定義に当てはまる行為を表示させないことです。

 

「疾病の治療又は保健の目的を以て光熱器械、器具その他の物を使用し若しくは応用し又は四肢若しくは精神作用を利用して施術する行為であって他の法令において認められた資格を有する者が、その範囲内でなす診療又は施術でないもの、」換言すれば「疾病の治療又は保健の目的でする行為であって医師、歯科医師、あん摩師、はり師、きゅう師又は柔道整復師等他の法令で正式にその資格を認められた者が、その業務としてする行為でないもの」ということになるのである。

 

つまり

「疾病の治療又は保健の目的を以て光熱器械、器具その他の物を使用し若しくは応用し又は四肢若しくは精神作用を利用して施術する行為」の表示の差し止め、

 

換言すれば


「疾病の治療又は保健の目的でする施術行為」の表示を差し止めるわけです。

 

そのような施術行為は医療免許の所持者にのみ認められる行為、とするわけです。

医師法第17条、あはき法第12条を文字通り解釈すればそうなるのですから。

 

 

ちなみに「保健]は「健康を保つこと」と解説されているのが多いですね。


そのためには昭和35年の最高裁判例の変更が必要となります
「人の健康に害を及ぼすおそれ」の有無に関わらず、医業類似行為は禁止処罰の対象である、と判例を変更するのです。


レベル4なら判例変更ではなく、法律の改正で解釈が変わった、という考えで同様の判例を得ることができますが、将来に禍根を残しかねません。

それはまた次の記事で。


第4回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその2(レベル4)
第5回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその3(レベル1〜3)
第6回:差止請求


第2回:品質誤認惹起表示(優良誤認表示)

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前回は不正競争防止法の概略について説明しました。
http://blog.kudo-massage.com/?eid=124


今回はこの訴訟案の核心部分である品質誤認惹起表示についてです。

経済産業省の説明の36、38頁目に書かれていたように、国や公的機関等による認定・保証の有無は品質に関わることです。

 


 

なので認証を受けていないにも関わらず、その認証を受けた旨を表示することは、例えその認証基準を満たしていたとしても品質誤認惹起表示となります。


判例としてはパンフレットにも取り上げられている清酒特級事件などがあります。
 

級別の審査・認定を受けなかつたため酒税法上清酒二級とされた商品であるびん詰の清酒に清酒特級の表示証を貼付する行為は、たとえその清酒の品質が実質的に清酒特級に劣らない優良のものであつても、不正競争防止法五条一号違反の罪を構成する。

 

1992年まで日本酒には級別があり、それによって酒税も変わっていたのです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E9%85%92%E7%B4%9A%E5%88%A5%E5%88%B6%E5%BA%A6

 

 

というわけで国家資格(免許)を持っていないにも関わらず、国家資格を持っていると表示すれば当然のこと、品質誤認惹起表示となります。

 

では無免許にもかかわらず、要免許行為を行うことを表示していたらどうでしょうか?

 

不正競争防止法に関してはそのような判例を私は知りません。
しかし優良誤認表示に関して言えば医薬品でないクロレラの効果効能の表示が優良誤認表示と認められています

 

http://blog.kudo-massage.com/?eid=123

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=84833

 

医薬品としての承認を受けていない被告商品について,医薬品的な効能効果がある旨を示す又は示唆する表示,一般消費者に対し,あたかも国により厳格に審査され承認を受けて製造販売されている医薬品であるとの誤認を引き起こすおそれがあるから,不当景品類及び不当表示防止法10条1項1号所定の優良誤認表示にあたる

 

優良誤認表示は消費者側から見た用語ですが、品質誤認惹起表示と大差はありません。

 

そういうわけで無免許業者が要免許行為を行うことを表示することは品質誤認惹起表示となると考えます。
 

(2017年2月1日追記)

無免許業者の店で「当店では医療行為やあん摩マッサージ指圧は行っておりません。」という注意書きがされていることがあります。

このような表現があると品質誤認惹起表示に問えないのではないか?と思う方もおられると思います。

 

しかしそのような表示を行う、ということは表示してある行為が医療行為やあん摩マッサージ指圧と紛らわしいという自覚を持っている証明でもあります。

 

わかりやすい記事が下記になります。

 

「NAVERまとめ」と著作権 LINEに法的責任を問えるか? 弁護士が考察する (3/5)

 

利用規約では第三者の権利を侵害する行為を禁止している(利用規約第3条)。また画像アップページでは「著作権や他人の権利を侵害する画像をアップロードした場合、利用規約および関連法規により処罰を受けることがあります」と明記している。もっともこの注意書きはNAVERまとめ自身が著作権侵害コンテンツがアップロードされる可能性が高い旨を認識していたことの裏返しともいえる(強調は筆者による)

 

記事で引用しているTVブレイク事件の判決文より。

 

原判決(筆者注:一審判決のこと)は,キーワード検索により,容量・時間ともに制約のないファイルを無料で簡単に視聴できる点,動画投稿が匿名でされ得ることが違法なアップロードを誘発する点,動画ファイル送信時に表示される警告及び会員規約の記載から,著作権を侵害する動画ファイルが送信される可能性が高いことを控訴人会社が認識していた点などを指摘する。

この判決文は知財高裁(二審)の判決文ですが、著作権侵害を認定された被告の控訴を棄却しています。

 

というわけで、これを読んだ無免許業者の皆様、医行為やあん摩マッサージ指圧と誤解を招かない表現をお願いします。

 


第3回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその1(レベル5)
第4回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその2(レベル4)
第5回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその3(レベル1〜3)
第6回:差止請求

 


第1回:不正競争防止法の概要

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(2017/01/28 20時追記)

このブログを初めてご覧になられる一般の皆様へ。

 

皆様にご理解いただきたいのは、このブログで提案してる訴訟を行う目的は、我々鍼灸マッサージ師などの権益確保のためではなく、患者さん、消費者などの国民を守るための訴訟である、ということです。

 

乳幼児に対する無免許マッサージで死亡事故が起きております(ずんずん運動事件)。
http://www.j-cast.com/tv/2015/10/27248975.html?p=all

 

死亡に至らなくても、整体やカイロなどの無免許施術で健康被害が生じていることが国民生活センターから報告されています。
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20120802_1.html

 

本来、無免許での施術行為は禁止されているのですが、最高裁が昭和35年に、それらの禁止処罰を「人の健康に害を及ぼすおそれのある行為」のみに限定してしまったため、無免許施術が放置される状況を招いています。

 

なので昭和35年の最高裁判例を変えない限り、第2,第3のずんずん運動事件を防げませんし、無免許施術による健康被害も防げません。

 

国民を守るための訴訟であることをご理解いただければと思います。

(追記終わり)

 

さて、判例変更の法廷戦略を何回かに分けて説明しようかと思います。

手の内を明かすのは、より多くの鍼灸マッサージ師の先生方に、原告として参加していただきたいからです。

また理想通りにいかなければ2回、3回と訴訟を起こす必要があります。
そのときに全国の先生方にご協力願えればと思います。

 

今回は不正競争防止法の条文や規定について。

 

不正競争防止法は経済産業省が所管しております。
で、概要についてまとめたテキストが経済産業省のサイトにあります。

 

不正競争防止法の概要[PDF]

 

92ページもありますので、必要なところだけ。

表示で5頁目に不正競争防止法の目的が書かれております。
というより第1条ですね。

 

この法律は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保するため、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

 

「事業者間の公正な競争」を確保し、「国民経済の健全な発展に寄与すること」が目的と言えます。

 

表示10頁目に「4.不正競争防止法の体系(法律の全体構成)」とあります。

 

 

 

私が考えている訴訟は7番目のサービス等の品質等の誤認惹起表示を差し止める裁判です。

で、民事的措置として

 

○差止請求権 (3条)
○損害賠償請求権 (4条)
○損害額・不正使用の推定等 (5条等)
○書類提出命令 (7条)

 

が取れるわけです。

 

誤認惹起表示に関する詳しい説明は35ページ目からです。

条文は第2条第1項第14号です。

 

商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若し くは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為


36ページ目には広告の例として「新聞、雑誌、テレビ、インターネット上の広告、POP広告」とあります。

 

 

37頁目になります。

 

 


「民事上の請求権者」として「通常は、競争関係にある事業者が該当する。」と書かれており、整体やカイロなどの無免許業者に対しては我々、国家資格者である鍼灸マッサージ師はもちろんのこと、傷病の治療をうたっているのであれば病院、診療所も競合関係にあると言えます。

 

また医療免許保有者のみならず、無免許業者同士でも競合します。

 

「一般消費者には原則として請求主体性が認められない。」とありますが、景品表示法や消費者契約法に基づき、優良誤認表示の広告に対する差止請求や、契約の取消が認められるのはクロレラ裁判で示された通りです。

 

なので我々が無免許業者の優良誤認表示に対する判例を確立した後、消費者が訴訟を起こす事態も考えられます。

 

38ページ目には過去の判例が載っております。

 

 


この中で我々が参考にすべきは本みりんタイプ調味料事件、清酒特級事件です。

 

級別の審査・認定を受けなかったために旧酒税法上「清酒二級」 とされた商品であるビン詰の清酒に「特級清酒」の表示証を貼付する行為は、たとえその清酒の品質が実質的に特級清酒に劣らない優良なものであっても、誤認惹起行為に当たるとした。(清酒特級事件-最判昭53.3.22)

解説にも

国や公的機関等による認定・保証等があるかのように装った表示は、実質的にはその認定基準等を満たした品質・内容であっても該当する場合がある。

 

とあります。

 

クロレラ裁判では医薬品とは名乗っていませんでしたが、医薬品にしか認められない効能効果の表示が優良誤認表示と認定されたわけです。

そのため要免許行為を行う旨の表示も優良誤認表示、品質誤認惹起表示と言えるでしょう。


で、48ページ目から「民事上の措置の概要」です。
上記のように

 

○差止請求権 (3条)
○損害賠償請求権 (4条)
○損害額・不正使用の推定等 (5条等)
○書類提出命令 (7条)

 

が品質誤認惹起表示では使えます。

 

差止請求は第3条でして

 

不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求すること及び侵害の行為を組成した物の廃棄等を請求することができる。

 

とあります。なのでホームページ上から品質誤認惹起表示となる表現の削除を求めることができます

 

そして損害賠償請求です。

 

故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者に対して、損害賠償を請求することができる。

 

この損害額の推定のために第5条の規定があり、「侵害行為により侵害者が得た利益の額」が被侵害者の損害となります(49頁)。

要免許行為を行うことを広告しての利益ですからほとんどの利益と言えるでしょう。

 

そして第7条では

裁判所は、当事者の申立てにより侵害行為について立証するため又は損害の計算をするため必要な書類の提出を命ずることができる。

 

とあり、不正競争で得られた利益の立証が容易になります(51頁)。

 

無免許業者に対し、品質誤認惹起表示(優良誤認表示)による損害賠償を求める場合、確定申告書などの会計書類を求めることができるわけです。

 

もし地域内の国家資格者が全員原告になった場合、それまでの利益を全額、損害賠償として無免許業者に払わせることも可能です
 

昭和35年の判例を変更するために用いる不正競争防止法の内容は以上になります。

 


第2回:品質誤認惹起表示(優良誤認表示)
第3回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその1(レベル5)
第4回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその2(レベル4)
第5回:要免許行為の表示の差し止めを求めるーその3(レベル1〜3)
第6回:差止請求


遅くとも平成24年8月以降、医業類似行為は行っただけで違法である。

JUGEMテーマ:整体

 

どうも、鍼灸マッサージ師の工藤 司です。

 

さて、このブログでは何度も書いてますが、無免許マッサージや整体、カイロなどの無免許業者が放置される原因となっているのが昭和35年の最高裁判決です。

 

そこで、医業類似行為の禁止処罰には「人の健康に害を及ぼすおそれ」の証明が必要とされました。
そのため医師法第17条違反と区別がつかなくなり、整体師などが捕まる時は入念な捜査で立証できると判断されてから逮捕されています。

 

逆に立証のための捜査がめんどくさいので怪我人が出なければ放置もされます。

その結果、実際には危険な行為であっても取り締まりがされず、被害者が出ているのはズンズン運動事件国民生活センターの報告書で示されているとおりです。

 

以前の記事でも書きましたが、人の健康に害を及ぼすおそれが無くても医業類似行為を禁止処罰することは、健康被害を防ぐための合理的な範囲の規制です。

 

さて、無免許施術が違法というのに人の健康に害を及ぼすおそれの証明が不要と言えるのはいつからでしょう?

 

判例が変更されたら?
いえ、裁判は起きた事実を後から判断するのです。
ですから遅くともその裁判の審理対象となる事案が発生した時点から変更された判例は適用されます。

このことはこのブログで度々取り上げている婚外子相続差別の違憲判決でも示されています。

 

婚外子判例

 

赤い1番の判決が婚外子の差別規定を違憲とした判決です。
判決は平成25年ですが、差別規定について「遅くとも平成13年7月以降は違憲」と判断しています。

 

平成13年は1番の相続がはじまった(被相続人が亡くなった)時点です。

その間、平成21年には小法廷で差別規定を合憲とする判決(2番)が出ています。
2番の相続開始時は平成12年6月30日です。

 

なので早くても平成12年6月30日までは合憲、遅くとも平成13年7月以降は違憲、というわけです。

 

で、すでに差別規定が違憲となっている平成21年に最高裁は合憲判断を出しているわけです。

というわけで将来、判例が変更された場合、それが適用されるのは遅くとも裁判で審理する事実が発生した時点からです。

 

国民生活センターの報告書を判例変更の根拠とするなら報告書が発表された時から虞の証明がなくても違法、と言って良さそうです。

 

医業類似行為変更

 

 

といっても昭和35年の判例のもとでは検察は虞の証明なしに無免許施術を起訴するわけにもいきません。

なので民事で無免許業者を訴える必要がありますが、我々国家資格者が訴えることができないのは以前の記事で書いたとおりです。

 

なので無免許施術を受けた方が、違法な施術だから公序良俗違反で契約無効だから施術料金を返せ、
あるいは無免許施術のセミナーなどを受けた方が、資格業者に授業料を返せ、

といった裁判を起こしていただかないといけないわけです。
アートメイクの資格商法のように。


 


職業選択の自由と規制の合憲判断の段階理論

JUGEMテーマ:整体
この記事の著者は鍼灸マッサージ師であり、なんら法律に関わる専門資格を所有してないため、一部不正確なところがあるとは思いますが、ご容赦ください。

詳しい内容を把握したい方は大島義則著、法律文化社「憲法の地図ー条文と判例から学ぶ」101頁以降、および有斐閣別冊ジュリスト217号憲法判例百選機梁6版]205頁、212頁などを御覧ください。

前回の記事では薬事法で薬局の距離制限が違憲判断された裁判のことを書きました。

この裁判、および職業選択の自由に関する規制の合憲違憲の解説として目的二分論というのがよくされます。

健康被害などの危害を防止するためなどの警察目的(消極目的)で職業選択の自由を制限する法律の合憲判断には厳しい基準を適用し、経済的弱者などを救うため(積極目的)に職業選択の自由を制限する場合は不合理であることが明白な法律のみ違憲にする、という考えです。
詳しくはwikipediaの記事をご参照ください。


しかしその後の最高裁判決は目的二分論では説明がつかないのが多くなります。
特に平成12年に出された司法書士法違反事件の最高裁判決は登記手続き代行業務を司法書士のみに認めた司法書士法に関して合憲と判断したのですが、消極目的規制であるのに合憲性の説明は「あまりにも簡略な説示」でした。

そこで有力になってきたのがドイツの薬局判決で採用された段階理論です。

職業選択に対する規制を

(1)職業活動に対する規制(事後規制)
(2)主観的要件に対する規制(本人の努力次第でなんとかなるもの)
(3)客観的要件に対する規制(本人の努力ではどうしようもないもの)

の3つに分け、合憲審査基準の厳しさが3>2>1となります。

(1)は職業を選択、あるいは認可された後の活動などに対する規制で、事後規制です。

あはき法で言えば骨折・脱臼部位に対する施術の際の医師の同意を得ることの義務、あるいは鍼灸を行うときに消毒をする義務、守秘義務などです。広告規制がこの職業活動に対する規制か、表現の自由に対する規制なのかは意見が別れるところです。

(2)は本人の意思・努力・能力次第でなんとかなる要素に対する規制です。

受験制限のない免許制度はこの最たるものです。
鍼灸マッサージ師の免許は指定された養成校を卒業しないと受験資格を得られませんが、養成校自体の入学は一般に開放されており、生まれや性別、人種などで受験者を差別しておりません。

またあはき法第12条で禁止されている医業類似行為は医師免許を取れば医業として自由に行なえます。
そのためあはき法第12条の規制も(2)に該当します。

(3)は本人の努力ではどうしようも無いことです。

薬事法違憲判決では既存薬局の場所は自分ではどうしようもない、というわけです。

あはき法上はこれに該当する規制は無いはずです。
あはき法第19条はどうなのか?って気はしますが、自分の意志で盲人になることも不可能ではないですし。
この規定に当てはまるのは医療関係では助産師(女子のみに限定される)ぐらいですかね?
性転換も法律上は可能なようですが。

ドイツ薬局判決は日本の薬事法違憲判決にも大きな影響を与えたとされており、司法書士法違反事件の最高裁調査官解説も、消極目的規制ではあるが、資格制度による規制であることから合憲性審査基準を緩和しているそうです(大島前掲105頁)。

司法書士法違反事件では以前の記事で解説した歯科医師法違反事件も引用されています。


歯科技工士が義歯制作に伴い行う可能性がある歯科医行為は限定されていますが(だから歯科技工士法第20条で列挙、禁止されているとも)、医業類似行為はそのように、事前に限定することができないことは以前に書いたとおりです。

そのために禁止処罰対象を「人の健康に害を及ぼすおそれのある行為」に限定したのも理解できない話ではありませんが、その結果、被害者が出るまで取締がなされず、健康被害が生じているのは国民生活センターが報告したとおりです。

無害な可能性がある行為を禁止処罰対象にしなかったために無免許の医業類似行為が放置され、健康被害が発生する、というのは「単なる観念上の想定」ではなく「事実」なのです。

そのため無害の可能性があっても無免許の医業類似行為を行っただけで禁止処罰するのは危険な施術行為による健康被害を防ぐための「確実な根拠に基づく合理的な判断」であります。

そのため、現在、裁判所にあはき法第12条を判断させれば昭和35年の判例変更も可能だと思われます。

もし、無免許業者を違法行為と指摘したり、保健所・警察などに告発したりして、無免許業者から
「名誉毀損や業務妨害、虚偽告訴だ。削除や賠償に応じなければ法的手段を取る。」
とか言ってきたらむしろ判例変更のチャンスなのです。

無免許業者の脅しに屈してはなりません。


工藤はりきゅうマッサージ治療院

お問い合わせは施術時間にかかわらず
info★kudo-massage.com (★を@に変えてください)
あるいは
TEL: 023-641-0124
まで。
評価:
大島 義則
法律文化社
¥ 2,160
(2016-04-27)
コメント:憲法22条に関する判例を概観するのに役立ちます。

評価:
---
有斐閣
¥ 2,263
(2013-11-13)
コメント:図書館から2度借りたのに結局購入。



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