国は整体などの無資格施術の規制へ動いています。

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久々のブログ更新です。

さて、無免許の整体師から当ブログの感想として下記の内容が送られてきました。

 

一個人の意見でどんな記事を書こうが勝手ではありますが、
そんな記事を書こうが国が動かない限り整体業はなくなりません。

 

現在、厚生労働省では鍼灸マッサージ師、柔道整復師などの広告に関する検討会が開かれております。

あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会

 

下記に引用したように、施術者団体以外の方々(医師会、患者団体、弁護士、法学者)も無資格施術の危険性を認識し、規制の必要があることで一致しているわけです。

 

またこのブログで何度も紹介したように、国民生活センターや消費者庁から、整体やカイロプラクティックなどの無資格施術による健康被害も報告されているわけです。

 

というわけでタイトルに書いたように、国は無資格施術の規制に向けて動き出しているのです。

 

SNSをいろいろ見てみましても、広告検討会に関して言及しているのは国家資格者ばっかりで、無資格者が言及しているのを見たことがありません。

 

まあ、資格商法業者にとっては知られては困る情報でしょうね。

 

第1回検討会の議事録より

○山口構成員(患者団体)

 先ほど無資格者の話が出ていたのですが、私たちの所でも整体とかカイロプラクティック、マッサージ屋さんと言うのでしょうか、アルバイトの人がやっているようなもみほぐしとか、そういう所できつく押されて被害を受けたという御相談が結構あります。

ところが、相談のときに、いや、整体やカイロプラクティックというのは資格がないのだということを言うとびっくりされるのです。ですから、今、どの人がどの資格を持っていて、何を対象にしているのかということが非常に分かりにくくなっています。

 先ほど治療ということをおっしゃったのですが、例えば施術という言葉を使えば、治療ではないのですねというイメージになるわけです。今、どういう資格者がやっているのかということが分からない実態になるような名前であることに非常に問題があって、特にあはき、柔整というのは国家資格ですから、やはり、国家資格であることを一般の方が知ることができるような内容にする必要があるのではないか。

 そうすると、無資格者がやっていることについては、なぜここまで許されているかと、今、すごく重なっている部分があると思います。資格者はここまでできるが、無資格者でもこんなことをやっているではないか。そこをもう少し整理していく必要があって、それを一般の人がちゃんと使い分けができるように、ガイドラインの中できちんと整備していく必要があるのではないかと思います。

 

○釜萢構成員(医師会)

 私どもも無資格者の方の広告のあり方が一番、今回の検討の中で大事だと思っております。

(略)

それぞれの法律の中で、この業務はこの資格がないとできないということになると、資格がないのにそれをやれば虚偽ということになりますから、そういう整理が確かにいいのだろうと思いますが、実際にそれが果たしてうまくいくのかということについては、現時点では非常に難しそうだなという予想を持っております。

 

○磯部構成員(法科大学院教授)

 従前、医業類似行為の規制については 2 つのポイントがあって、直接的に人体に有害となるという意味で、積極的な弊害があるという点に加えて、そういうのに頼ることで、患者が適切な医療を受ける機会を失するおそれがあるという、消極的弊害もあると。この 2 つを当初、厚生省は規制の根拠に挙げていたはずですが、昭和 30 年代の最高裁が、いろいろな理屈はあるのですが、職業選択の自由にも関わる話だしということで、積極的な弊害が具体的にあるようなものについてのみ、要は積極的弊害がある場合のみを規制対象とするという解釈をしているものですから、恐らくその点、そこは狭く解しているところがあると思うのです。

あん摩、はり、きゅう、柔整以外の医業類似行為については、医学的観点から人体に危害を及ぼすおそれがあれば禁止処罰にするけれど、それ以外については放任しているというのが、恐らく今までの運用のような気がするのですが、そもそもその考え方自体、学説上は批判があって、結論から言えば消極的弊害ということをやはり重視するべきではないかと、私などは考えていますし、恐らく多数説はそうではないかと思います。

 そういう意味では、放任行為であるとされている業務に従事する人も、医業ないしは医業類似行為へのアクセスを不当に害するような形で広告等をする場合には、それは広告行為が規制されてもよいでしょうし、医業類似行為を行う業務においても、国民が医療へのアクセスを損なわれてしまうような、そういう消極的弊害が起こり得るような広告であれば、これも規制の対象としていいのだという、そういう考え方に立って、今後このガイドラインについて考えるということでよいのであれば、それはそれで私は大賛成だなという気がしている次第です。

○釜萢構成員(医師会)

 それから、先ほど磯部先生からお話がありまして、消極的な弊害というのは私は初めて伺ったのですが、それはすごく大事で、無資格者をどうやって規制していくかという根拠が私はよく分からなかったので、すごく難しいだろうと思っていたのですが、医療安全を確保する意味から、国民を守るためにどのようにしっかりと規制の網を掛けるかということが大分見えてきたような気がしまして、そこを是非しっかりと詰めていくことが大事だなと感じた次第です。

○釜萢構成員(医師会)

 この広告の検討の中で無資格を扱わなければならない理由は、国民の医療の安全が脅かされているという大変強い危機感からであり、そういう資格がなくて業に携わっている方を排除するということでは決してないのですが、国民の安全を守るためには、資格のない業者に対してもしっかりと目を光らせていかなければいけないという認識です。

そうでないと、健康被害の事例は医師の所にたくさん来るわけです。そういう無資格の施設で術を受けることによって健康被害が生じた事例を、私どもはたくさん経験しております。ですから、それを何とかしなければいけないだろうという危機感から、 1 つはこの検討会が開かれていると認識しております。

○木川構成員(弁護士)

 無資格者の話を広告に限定していった場合に、要するに無資格者が医業類似行為(筆者注:人の健康に害を及ぼすおそれのある行為)をやっていると誤認させるような広告をしてはいけないということになるのかなと思うのです。

そうした場合に、医業類似行為とそこに至らないものは何かという話になってきて、鍼灸は分かりやすいと思いますが、マッサージ、体に触わるものがどこから以上だったら医業類似行為で、どこから以下ならそうならないのかということが明確になれば、それ以下のものをやっているということについては、医業類似行為をやっていると誤認させることにならないし、それ以上をやっているということになったらそれは誤認させるということになるのかなと思います。

 


整体師やカイロプラクターの損害賠償請求を裁判所は認めない。

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久々のブログ更新です。

入れ墨(タトゥー)の彫師が医師法違反で逮捕され、大阪地裁で有罪判決を受け、被告人は控訴しております。

 

(2019/01/18追記。タトゥー施術に関しては大阪高裁で逆転無罪判決となっており、現在、検察が最高裁に上告しております。)

 

こんな具合に、入れ墨を彫る行為は医行為(保健衛生上、人の健康に害を及ぼすおそれのある行為)である、というのが常識的な解釈であります。

今回、紹介する裁判例は、彫師の競合禁止契約が無効とされた事件です。

 

被告は原告の入れ墨店で働いていた彫師ですが、競業避止条項に反して独立開業したため、原告が減った売上などの損害賠償を請求した事件です。

出典 D1-law.com判例体系文書番号 28254708
名古屋地方裁判所平成29年12月01日判決 平成28年(ワ)第4337号

 

本件は、原告が経営する入れ墨店において彫り師として稼働していた被告が、原告被告間で締結された業務委託契約上の競業避止条項に違反し、かつ、原告の従業員を違法に引き抜いて、自ら入れ墨店を開設したことにより損害を被ったとして、原告が被告に対し、債務不履行又は不法行為に基づき、損害賠償金132万円及びこれに対する訴状送達日の翌日である平成28年6月10日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

この事件で問題としている競業避止条項は

被告は、原告及び原告のグループ店舗を退店又は退職及び失職した場合、原告及び原告のグループ店舗から半径1.5キロメートル以内における、独立、営業活動及び営業行為を一切禁止とする。

という内容です。

 

裁判所は「業として客に入れ墨の施術を行うことは、医師法に違反する違法な行為というべき」とし、「本件競業避止条項に違反したことを理由とする裁判上の損害賠償請求を認容することは、違法行為を保護することにほかならず、民法90条の趣旨に照らし許されないというべきである。」として原告の請求を棄却しております。

 

さて、これを当業界に当てはめますと、整体師やカイロプラクターなどの施術は入れ墨同様、医師法第17条に違反すると思われる行為もありますが、形式上、あはき法第12条に違反するわけです。

 

あはき法第12条違反に関しては昭和35年の最高裁判決により、禁止処罰は人の健康に害を及ぼすおそれのある行為に限定され、その結果、無免許施術は放置されることになりました。

その結果、国民生活センター消費者庁が報告するように、無免許施術による健康被害が多発する結果となっております。

 

で、整体師やカイロプラクターが営業上の損害を受けたとして、損害賠償を請求する場合(請求する整体師やカイロプラクターを原告とする。)を考えてみましょう。

 

損害賠償請求を受ける側(被告)としては被告の行為と原告の損害には因果関係は無い、と主張する方法もありますが、私であれば「原告の営業行為はあはき法第12条に違反する違法行為であり、原告の損害賠償請求を認容することは、違法行為を保護することにほかならず、民法90条の趣旨に照らし許されないというべきである。」と主張します。

 

で、昭和35年の判例が問題となるわけですが、この判例のせいで無免許施術が放置され、健康被害が多発しているのは前述のとおりです。

この状況で裁判所があはき法第12条について判断した場合に「判例変更が無い」と自信を持って言える弁護士もいないと思います。

 

整体師などが営業売上に関する損害賠償請求を行った場合、判例が変更されて、医業類似行為を行なっただけで禁止処罰対象になる可能性もあるわけです。

 

判例変更といえば去年、強制わいせつ罪に関して判例が変更されております。

 

このように整体師やカイロプラクターなどの職業は、営業上の損害を受けて賠償請求を行うのもリスクのある商売なのです。

真っ当な商売であれば損害賠償が認められるかどうかだけ考えれば良いんですけどね。


協同組合に対する厚生労働大臣認可を用いて騙す表示は優良誤認表示である

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以前の記事でも書きましたが、協同組合として厚生労働大臣に認可されたことを表示して資格商法を行っている事業者がいます。

 

無免許業者の広告への対応から見える各タウン誌の倫理観

 

上記の記事でも書きましたが、組合員の相互扶助を目的に協同組合は認可されるのであって、そこに施術の安全性や有効性は関係ありません。

 

協同組合スクール

 

整体師やカイロプラクター、なんちゃらセラピストのスクールに「厚生労働大臣認可」と書いてあればその技術や安全性について厚生労働大臣が認可したと誤解するのが普通ではないでしょうか?

 

さて、協同組合が厚生労働大臣に認可されているのは事実であり、その認可された協同組合がその資格商法業者(スクールなど)を指定しているのも事実であり、その表記の違法性を問うのは難しいかな、と思っていた次第です。

 

しかし別の目的で認可されたことを認可目的と関係無い目的に表示した場合には不正競争防止法の品質誤認惹起表示になる、という判例があったのです。

 

大阪地裁平成7年2月28日判決 平成3(ワ)3669号
出典 判例時報1530号96頁

主たる用途を「建築物の屋根・壁・天井」として建設大臣の認定を受けた不燃材の認定番号を、その不燃材をフランジガスケット材として販売する際に、パンフレットやカタログに表示したことが不正競争防止法の品質誤認惹起表示とされた。

 

品質誤認惹起表示を一般消費者向けに対して行えば、景品表示法上の優良誤認表示となります。

 

施術の安全性や効果、あるいは得られた資格に関して厚生労働大臣が全く関係ないことを事前に伝えなければ消費者契約法の不実告知、あるいは不利益事実の不告知にもなるでしょう。

 

消費者契約法による契約解除[岩見沢市消費者センター]

 

広告が消費者契約法上の「勧誘」にも該当することは、先日のクロレラ裁判の最高裁判決で示された通りです。

 

医事法規と優良誤認表示

 

もしこれを読まれた方で、「厚生労働大臣認可」の文字に騙された、という方は消費生活センター適格消費者団体にご相談下さい。


 


無免許業者は施術料金の返還を求められたら返還しなくてはいけない

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前回の記事では健康被害がなくても、症状が改善しないために施術料金の返還を求められたケースを紹介しました。

 

そんなわけで無免許施術の場合、消費者契約法では料金返還の判決を得るのは難しいので、

違法施術であり、民法90条違反(公序良俗違反)として料金返還を求める方法があります。

 

そしてそのような判例は私が調べた限りではありません

 

さて、なぜ判例が無いのでしょう?

 

もし違法施術という判決が出されたらどうなると思いますか?

その無免許業者に対し、最初の判決を参考にしてテンプレートのように料金返還訴訟を起こすことが可能になります。

まさに過払い金返還のように。

 

なので違法施術を認識して行い、料金の返金訴訟を起こされた場合、判決を回避する必要があります。

 

そのために使う手段が認諾(にんだく)と和解です。

認諾は原告の請求を認めることです。

和解はお互いの主張を譲り合って締結するものです。

 

認諾も和解も裁判所の判断が示されることはありません。

 

少し当業界から離れますが、判決回避の認諾や和解は下記の過払い金のニュースや弁護士の記事が参考になるかと思います。

 


プロミス、子会社への過払い金返還請求受け入れ 社会 YOMIURI ONLINE(読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120330-OYT1T01213.htm

(強調は筆者による)

 

プロミス、子会社への過払い金返還請求受け入れ

 

過払い金返還請求プロミス受け入れ 消費者金融大手のプロミスの子会社から借り入れをしていた男性らがプロミスに過払い金の返還を求めた訴訟の上告審弁論が30日、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)であった。

 

 書面審理が中心の最高裁が弁論を開いたことで、原告敗訴の1、2審判決が見直される可能性が出ていたが、同社側は請求を受け入れる「認諾」を表明し、判決に至らず訴訟は終了した。

 

 訴訟では、子会社の廃業後、親会社に過払い金の返還を請求できるかどうかが争点だった。原告側代理人によると、最高裁が弁論期日を指定した後の2月、同社側は請求額の2倍を支払うとした和解案を提示し、和解を拒否されると、請求認諾の書面を提出したという。この日の弁論で原告側は「意に沿わない判例を回避するための認諾を許せば、他の債権者が救済されない」と訴えたが、同小法廷は認諾の効力を認めた。

 

 プロミス広報部の話「粛々と適切に訴訟手続きをしており、不利な判決を逃れるためだと言われるのは心外だ」

 

(2012年3月30日23時50分 読売新聞)

 


そしてこの裁判の原告代理人の弁護士の記事です。

プロミスの場合(過払い金請求の話) | 庶民の弁護士 伊東良徳

 

 

長いのでとりあえずページ内を「認諾」で検索し、最初にヒットしたところから読んで下さい。

 

"プロミスは敗訴判決を避けるためになりふり構わず卑劣な策略に出たのです。"

 

死刑判決に対する上告以外で最高裁で口頭弁論が開かれる、ということは高裁判決を見直すことを意味します。

なので1,2審判決が破棄される見通しがあったわけです。

 

最高裁で逆転判決となれば他の顧客からの請求も定型化されてしまいますので、最高裁判決を回避するために請求額の2倍の和解金を支払う、と原告に対して提案したわけです。

 

まさに

 

"債権譲渡事案では、最高裁が口頭弁論期日を指定したらその事案だけ高額の和解金を積んで闇に葬り和解を拒否されたら認諾してプロミスにとっては痛くもかゆくもない金額を支払うことでそれ以外の巨額の過払い金の支払を拒否し続けようとすることが明らかです。"

 

ということです。

 

伊東弁護士の記事の最後に書いておりますが、別の裁判で最高裁はプロミスに有利な決定(原告の上告棄却)をしました。

認諾によって稼いだ時間で論理を構築していたのだとしたら2倍の和解金でも安いものだったでしょう。

 

 


さて、もう一つ和解に関する事件を紹介します。

山口県で起きた、ホメオパシーを行っている助産師がビタミンKシロップの投与を行わなかったために乳児が死亡した事故の民事訴訟です。

朝日新聞によれば約5600万円の請求に対し、数千万円での和解だそうです。

 

で、下記の記事によると和解条項には口外不可な条件があるらしく、それをいいことにホメオパシー団体は言いたい放題だそうです。

 

山口ホメオパシー訴訟は和解で終結。しかし、ホメオパシー団体は"言いたい放題"

 

認諾は原告の請求を認め、口外不可なんという条件は付けられません。

しかし和解ならこのように口外不可の条件をつけ、自分たちには責任がなかった、と裁判所の外では主張できます。

 

 


 

なお、プロミスが認諾という手段を使ったのは高裁までは勝てていて、最高裁では負けそうだ、という判断からです。

最初、つまり地裁で認諾をしてしまえば自分が違法施術をしたと認めることであり、その情報を他の利用者に知られたたら同じように返還請求をされます。

 

認諾という手段は地裁で勝ててこそ使える手段です

 

なので地裁ですら自分が行っている無免許施術を合法と認めさせることができないなら和解を目指さねばなりません。

 

問診や身体所見の告知を行っていたり、安全性の確保に習熟が必要な旨を言っていたらまず裁判で勝てないでしょう。

 

なので請求金額だけを払うだけで和解できるか?という問題があります。

請求金額だけを払うなら認諾でも構わないのです。

でも施術者側としては上記の理由で認諾はできないわけです。

 

裁判を起こすまで利用者(原告)との関係がこじれているわけです。

単に施術料金の返還を求めるレベルであれば和解に応じてくれるかもしれませんが、対応への憤りから社会的制裁が必要と考えているかもしれません。

 

PCデポの問題で、被害者側が「もはや金額の問題ではない」と述べているように。

 

PCデポの問題に関して言えば、認知症の父親と契約したことを理由にして、最初に全額返金すればよかったのです。

そうすれば契約内容そのものに関する議論は起きずに済んだでしょう。

 

 

このように高まった怒りを沈めさせるだけの上積みが和解には必要なわけです

 

もちろん、被害者側にも裁判の負担や見通しの不明確さなどがあります。

しかしそれを利用して、請求金額よりも低い額での和解案を提示したら火に油を注ぐことになりかねません。

 

なので口外不可の条件をつけて和解するなら、請求金額+弁護士費用ぐらいの和解金は必要でしょう。

無免許医業をしていて、料金返還の訴訟をされたら施術料金以上の出費が必要なわけです。

 

そんなわけで違法性を指摘されて料金の返還を求められた場合、口外不可の条項をつけて全額返金で示談すべきです。

この時点なら症状を改善できなかったお詫び、という名目でも構わないのです。

返金してもらえば怒りは収まるでしょうから。

 

もっとも返金要求して拒否されたからといって、実際に弁護士に依頼したり、裁判を起こす人の分かり合いは少ないでしょう。

なので訴訟を起こされたらプロミスが行おうとしたように、高額の和解金を支払えば良いだけかもしれません。

 

このように「和解」で済ませていれば、違法施術という理由での返金請求に関する判例が存在しないのも納得できるわけです。

 

実際に返金訴訟を起こす人の割合は小さいですから、違法行為を気にせずに商売として考えた場合、必要経費と割り切ることも可能です。

 

コンプライアンスや倫理なんかはどうでもいい、金儲けこそが正義だ、と思っている方を説得しようとは思いません。

ただ、この業界に入ろうと思っている普通の方々にはこのように「経費」と割り切ることができるか、考えていただきたいのです。

 

まあ、ネットやSNSが無い時代であれば「認諾」でもよかったのかもしれません。

また私のように無免許施術に関する判例を収集・公開する人もおらず、そのような裁判が無かったのかもしれません。

 

もちろん、自分たちが行っている施術は合法だ、というのであれば和解など提案せずに、判決を貰えばいいのです。

 

我々国家資格者としては違法である旨の判決が欲しいので、無免許業者の皆様には和解されるよりも判決まで戦っていただいた方がありがたいです。


健康被害が無くても施術料金の返還を求められることがある

前回の記事では刑事での取り締まりがされなくても、民事で無免許施術の違法性が問われ、民法の規定に基づき施術料金の返還を求められる可能性があることを書きました。

 

これを読まれてている無免許業者の皆様、ご自身の施術が違法で無いという自信がある方はどのくらいおられますかな?

 

どのような施術が裁判で医師法違反とされてきたかは当ブログのカテゴリにまとめています。

 

 

  • 利用者さんの症状や病歴を聞かず(問診不可)、
  • 誰が行っても安全な施術しかしてない(習熟不要)、
  • そして利用者さんの体の状態を判断はしてないし、もちろん利用者に告知することもしない(所見告知不可

 

というのであれば医師法違反やあはき法違反を心配せずに済むでしょうが、そのような方はどのくらいおられるでしょうか?

 

さて、上記の点を指摘され、違法行為であり、施術契約は公序良俗に違反し、契約は無効だから施術料金を返せ、と言われたら皆様、どうされます?

 

無免許で問診や検査法を行い、身体所見を伝えている、という前提ですが。

 

物的証拠が無いから問診や身体所見の告知はしてないと嘘をつき、自分の施術の合法性を主張する、というのも一つの選択肢ではあります。

嘘で乗り切るのであればホームページに問診・検査法や所見告知をすることを書かないことです。

 

皆様(無免許業者)にとって最も望ましいのは返金せずに済むことですが、嘘をついて誤魔化した場合、あとで利用者さんが真実を知ったら逆に厄介になります。

PCデポの問題を見ればわかるように。

 

 

あ、健康被害も生じてないのにそんな返金を要求する利用者さんがいるのかって疑問がわきました?

実はそういう訴訟は起こされてたりします。

 

国民生活センターの資料(PDF)ですが、9ページ目、番号22にカイロプラクティックの施術料金の返還を求めた訴訟が書いてあります。

以下、資料から転載です。

「法」というのは消費者契約法のことです。

 


 

東京地裁平成25年3月26日判決

 

原告(消費者)の請求

 

消費者である原告は、肩こりや頭痛などの症状についてインターネットで通院先を探し、被告らとの間でカイロプラクティックの施術契約を締結し、施術を受けた。

原告は、被告らが、原告の猫背、頭痛、肩こりはカイロプラクティックによる施術によって治るとは限らないにもかかわらず、それを故意に告げず、かえって、原告らの症状が治ると将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供したため、原告は、本件各施術によって症状が治るのが確実であると誤認したと主張し、法4条2項により本件各施術契約を取消す旨の意思表示をし、不当利得の返還請求をした

 

判決

 

カイロプラクティックの施術における「猫背、頭痛、肩こりの症状を改善させる効果の有無」については、消費者契約の目的となる役務についての「質」に該当すると認められる。

被告らが、本件各施術によって猫背、頭痛、肩こりの症状が改善していく旨の説明をしたことは認められるが、施術によって症状が改善しないと認めることはできないから、被告らが本件各施術によって症状が改善しないにもかかわらず改善する場合があると告げたと認めることはできない。

また、被告らが、原告に対し症状が軽減、消失しないことを告知しなかったことが法4条2項に反するとはいえない。

そして、被告らが「猫背、頭痛、肩こりが治る」などという断定的明言をした事実を認めることはできず、原告において、猫背、頭痛、肩こりが確実に治ると誤信したと認めることは困難である。

被告らが、症状が改善しない場合があることを故意に告げなかったとも認められない。

以上により、原告の本件各施術契約の申込みの意思表示につき、法4条2項に基づいて取消すことはできないとして、原告の請求を棄却した。

 


消費者契約法第4条2項ですが、故意による不利益事実の不告知です。

 

 

この判決、本文が判例データベースには収録されておらず、正確なところはわかりませんが、施術そのものの違法性を争ったわけではないんですよね。

 

これが本人訴訟なのか、弁護士がついてこの結果だったのかはわかりません。

原告がカイロプラクティック施術が医師法違反やあはき法第12条違反と主張しなかったら、裁判官はそのことについて判断してはいけないのです(弁論主義)。

 

では無免許施術が違法であり、民法90条違反(公序良俗違反)だから施術料金を返せ、という裁判は有ったのか?

そのような判例は私が調べた限りでは無いのです。

 

なぜそのような判例が無いかはまた次の記事で。

 

なお、裁判ではありませんが、アートメイクスクールに関しては違法施術を教えているのだから授業料を全額返金せよ、という決定が東京都消費者被害救済委員会によってなされています。

 

無免許施術を教えているスクールにも当てはまることでしょう。

 

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刑事処分されなくても民事で「有罪」になることもある

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筆者は法律・教育・児童福祉に関しては素人ですので少年事件と成人の刑事事件の用語の使い分けが不正確だったり、混同しているのはご容赦下さい。
民事裁判に「有罪」が無いことは知っていますのでそこは突っ込まないで下さい。

 

マット死、元生徒2人に再び賠償命令…山形地裁

 

明倫中のマット死事件で、民事裁判で賠償判決が確定したにも関わらず、加害者が賠償金の支払いをしなかったため、時効にならないように被害者遺族が起こした裁判です。

 

加害者とされる生徒は7人ですが読売の記事によれば刑事処分は

 

児童福祉司指導処分 1人
不処分(無罪) 3人
保護処分(有罪) 3人

 

ということです。

 

裁判所のサイトを見てみると不処分が必ずしも無罪とは限らないようですが、犯行を否認している状態では更生を期待できないでしょうから、有罪を認めての不処分ではないでしょう。

 

河北新報の記事によると抗告審では不処分となった3人を含めた7人全員の関与が認定されましたが、この抗告審は不処分になった3人の裁判ではありません。

 

そして被害者の遺族が起こした民事裁判では7人全員の犯行を認め(つまり「有罪」)、損害賠償を命じています。

 

加害者のうち4人は差し押さえる財産や給与があるために強制執行の手続きを取り、差し押さえる財産が見当たらなかった3人に対して今回の裁判を起こし、そのうち1人は差し押さえる財産が見つかったので訴えを取り下げ、未払いの2人に対する判決が取り上げた記事です。

 

刑事裁判というのは国家(検察)と個人(被告・容疑者)の戦いであり、
被害者と加害者の戦いではありません。
なので「疑わしきは被告人の利益に」となります。

 

しかしその犯行による損害賠償の請求の民事訴訟は
被害者(及び遺族)と加害者の戦いです。
民間人同士の戦いです。

 

容疑者に、刑事裁判では与えられたハンデはありません。
検察のように99.9%以上の有罪判決を維持する必要も被害者にはありません。
勝敗が五分五分でも提訴するのは被害者の自由です。

 

無免許業者の場合、「人の健康に害を及ぼすおそれ」の証明が困難なために取り締まりがされない、ということで脱法行為を開き直っているかと思います。

またその手のスクールでもそのように受講希望者を騙しているかと思います。

 

しかし刑事責任が追求されなくても民事で責任を追求される可能性があるのは上記のとおりです。

名誉毀損罪で逮捕・起訴されていないにもかかわらず、民事裁判で名誉毀損の損害賠償が認められるのが典型でしょう。

 

違法施術だから公序良俗に違反し、施術契約は無効だから料金の返還を求められる可能性があるのです。


そして医師法違反の判例などを見れば違法施術である証明はさほど難しくはないでしょう。

 

無免許業者の皆さん、利用者さんの症状や病歴を聞かずに施術してますか?

 

それを聞くことが問診であり、医行為であることは最高裁判決が示しています

 

長くなりますので今回はこの辺にしておきます。


消費者裁判手続特例法という法律:集団的消費者被害回復訴訟制度

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どうも、鍼灸マッサージ師の工藤 司です。
米国スターバックスに関するニュースで、便利な知識が書いてあったので紹介ついでに、その知識、というか日本に導入される制度について書きますね。
「氷多すぎ」米スタバに客が「5億円超」の損害賠償請求、日本でも可能?


上記の記事からですが、

"スターバックスが虚偽の表示で不当な利益を得た詐欺の疑いがあると主張。過去10年間に氷入りのドリンクを購入したすべての顧客を代表するとして、500万ドルの損害賠償を求めている。"

アメリカの法制度は詳しくありませんが、よく懲罰的損害賠償というのは聞きますね。

そんなのが日本でできないのは皆様、ご存知のとおりです。

"「まず、日本では、個々の消費者が他の消費者を代表する形で損害賠償請求を行うことは認められていません。個々の消費者が請求できるのは、あくまでもその消費者自身が被った損害についての賠償のみです」"

というわけで日本で裁判を起こせるのは原則として被害者のみです。
無免許マッサージ業者がいたとしても、実際に施術を受けていない我々国家資格者が懲罰的損害賠償を求めるわけにはいかないのです。
施術を受けた被害者自身が裁判を起こさなければいけません。

で、新制度の話になります。

"「もっとも、日本においても、平成28年10月から、アメリカの制度とは異なりますが、一定の要件を充たす集団的な消費者被害について、国が認定した消費者団体が原告となって訴訟を起こし、個々の消費者の被害回復に向けた手続を行う『消費者裁判手続特例法』がスタートする予定です。
したがって、今年10月以降に発生する集団的消費者被害事案については、この新しい制度に基づいた被害回復がなされる可能性が出てきます」"


キーワードは「消費者裁判手続特例法」ですね。

検索してみると消費者庁のページが有り、Q&AのPDFもありますが、読む気になれませんね(汗)


この記事がわかりやすいかと重います。
強調は筆者による。

"今回の手続は、消費者に使い勝手のよいものとしての制度設計がされました。まず、消費者には法律的な知識が十分ではなく裁判の経験もない人は少なくないと考えられます。そこで、消費者にこの手続を使ってもらうための手法として、被害を受けた消費者が自ら主体となって訴訟手続をとるのではなく、その消費者に代わって国が認定した適格消費者団体が事業者に被害回復の訴訟を起こせるようにしました。まずは適格消費者団体が訴訟を行い、判決あるいは和解により一定の金額を受け取れる方向になった段階で、消費者は適格消費者団体に授権することにより手続に参加することとしたのです。なお、消費者がこの手続を利用することなく、これまでのとおり民事訴訟手続によりこの手続では認められない人身被害等の損害の回復を求めて自ら訴訟を提起することができます。"

事業者との裁判を消費者団体が行い、その結果に基づいて消費者に返金するというのが大雑把な感じの説明になります。

抽象的な説明ではわかりにくいですし、当業界に関係ありそうだから記事にしているので無免許業者を例に上げますね。


無免許業者にお客さんがたくさんいました。
お客さんはみんな、免許制度のことは知らなかった。

で、あるお客さんが免許制度の存在に気づき、違法な施術契約だから公序良俗に反し、民法第90条などの規定に基づき、施術料金の返金を求めた。

ここで無免許業者は「うちの施術は人の健康に害を及ぼすおそれの無い施術で、合法な施術でございます。」といい、返金には応じなかった。

「違法な施術」の証明は手間がかかります。
弁護士費用を考えると返金してもらっても赤字になってしまいます。

そこでこの「消費者裁判手続特例法」が生きてきます。

無免許業者に対し、消費者団体が訴訟を行い、違法施術であることを立証し、返金義務がある判決を得ます。
判決を得られたら相談した消費者や顧客リストのお客さんに通知します。
そして領収書など、実際に施術を受けたことが証明できれば返金されるわけです。

一回の違法施術の証明で、皆が返金を受けられるわけです。

なので、マッサージや医行為に該当するような行為を行っている無免許業者さん、転職をお勧めします。

また以前の記事で書きましたが、医業類似行為に関する判例は変更される可能性が高いです。
変更されたら治療目的の施術であればそれだけで返金対象です。

公序良俗に反する契約はいつでも無効にでき、その債権の時効は10年です。
つまり無免許施術で受け取ったお金は10年経つまでは安心して自分のものとは言えないわけです。

そういうリスクを抱えて、無免許施術を続けたり、整体師とかになるぐらいならちゃんと免許を取るか、別の道を歩んだほうが良いかと思いますが。

ちなみに法律に詳しい訪問マッサージ師を選ぶメリットとして、このように消費者問題に詳しいので一人暮らしの高齢者の生活を守るにはうってつけかと思います。

たまには宣伝しないとね。

工藤はりきゅうマッサージ治療院

お問い合わせは施術時間にかかわらず
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